帯広のU邸は、カフェやペンションのような印象的な外観のお家です。Uさんファミリーは、ご主人が何年も各社の住宅展示場やオープンハウスを回られたという筋金入りの「住宅マニア」。綿密な調査と考察を基に、こだわりを詰め込んだカントリースタイルの家にお邪魔しました。
実在するカフェを参考にしたという外観。前面には塗り壁とタイルを使い、英国チューダースタイルのハーフティンバー調に仕上げました。わずかにクリーム色がかった色味が上品です。
こちらの住宅を施工したのはお隣の芽室町で2017年に創業した住宅会社「カントリーヴィレッジ」。朝日良昌社長自らが打ち合わせ、プランニング、現場管理を担当しました。
玄関には、シューズだけでなく鍵や小物などさまざまなアイテムが収納できる大きな棚を設置しました。玄関・シューズクローク・ホールを合わせると約5.5帖と、複数人で同時に入っても滞らない広さです。
リビングに入るとまず「LG Styler(LGスタイラー)」というホームクリーニング機がありました。衣類をハンガーにかけて入れておくと、外出先で付着した汚れを落としたり、シワを伸ばしたりすることができます。毎年シラカバ花粉に悩まされるご主人は、住宅を建てる前からこの機種を置くと決めてスペースを作ったのだそう。お部屋の奥に花粉を持ち込みません。
すっきりとした空間が心地よいリビングルーム。三連窓と無垢床が穏やかな印象を与えます。手前にはお子さんのプレイスペースとして使用している和洋室、奥にはキッチンとダイニングがあり、用途別に部屋を分けながらも家族の気配が感じられる造り。左手には階段と洗面所が続いています。
キッチンは冷蔵庫に合わせて硬質な「男前カントリー」に
こちらはキッチンとダイニング。温かみあるカントリーテイストの中に、レンガ調タイルの硬質な素材感がマッチしています。
「最初はもっと優しい印象のカントリースタイルがいいかなと思っていたんです。でも、この黒くて大きな冷蔵庫を置くことが先に決まっていたので、これが浮かないテイストにしたいね、と。色々考えてイメージを膨らませた分、お気に入りの空間になりました」と奥様。置く予定の電化製品までしっかり考えてから作ることで、全体が調和するインテリアになりました。
造作のキッチン裏収納は上下に分け、作業台としても使える形に。音更町のカントリー家具専門店FARMER'Sにオーダーしました。家電やゴミ箱を置くスペースは使い勝手を考え、オープンな形にしています。
「生活の切り替えができるよう、リビングとは別にしたかった」というダイニング。緩やかに繋がっている感覚に心地よさを感じます。
各社のショールームを見て回って決めたというクリナップのステンレスキッチン。「収納が多かったことと掃除がしやすい点が魅力でした。ガス台と食洗機も好きなものを選んで、料理をするのが楽しくなりました」(奥様)。
キッチンの内側は「サブウェイタイル」または「メトロタイル」と呼ばれるシンプルなタイルを選択。冷蔵庫の存在感をしっかりと受け止めています。
まとめ買いをすることが多く、以前住んでいた家では収納しきれない食材に困っていたというUさん。以前、朝日社長の手掛けた家にあった断熱パントリー(保冷庫)に「これだ!」と思ったのだそうです。冬場は外気を引き込むことで内部をひんやりと保ちます。デザインも使い勝手も大満足のキッチンになりました。
考え抜いた間取りや空間使いで抜群の家事動線
キッチンから洗面所、浴室、リビングはすべて繋がっている回遊式の間取りです。「家事動線にはこだわりました。数々のオープンハウスを見てきましたが、朝日社長の作る家は家事がしやすくなりそうなアイデアが沢山ありましたね」と奥様。実際に家事がしやすくてとても助かっているそうです。広いカウンターの洗面台は、家族で並んで朝の支度ができるようにと作ってもらったもの。後ろの棚も造作で、物が整然と収まるようになっています。
大きくて深さのある陶器製の医療用シンク。お子さんの洗濯物などを洗う際に使いやすそうなものを選びました。蛇口は掃除しやすいよう、壁付けのものを希望。数少ない壁付け水栓の中からインテリアコーディネーターの八木さんが提案したものは空間の雰囲気にもマッチし、「イメージ以上に素敵になった」とご夫婦も笑顔です。
洗面所には、使う時だけ引き出せる室内物干しユニット(パナソニック「ホシ姫サマ」)が。洗濯物を干した後は天井近くまで電動で引き上げることができるため、乾燥させる間もすっきりした空間を保つことができます。
キッチンと洗面・脱衣所の間には別途乾燥室も設けました。洗濯物を畳むほか、アイロンがけやミシンがけなども行える作業カウンターを作り、まとめて家事を行えるようになっています。
トイレはすっきりとした見た目と掃除のしやすさからタンクレス一択だったのだそう。手洗いのタイルは2つの候補の中から3歳の息子さんが選んだもので、ボウルや蛇口と合わせて「とても可愛く仕上げてもらいました」と奥様。息子さんもお気に入りです。
ご主人の書斎は防音DJスタジオ?! "隠れ家"で気兼ねなく音楽に浸る
さて、続いてリビング中央にある階段から2階へ。
階段を上りきるとフリースペースが広がっています。「最初は広い吹き抜けを作る予定でしたが、ホールに変更したんです。結果的には階段上部分の吹き抜けができたので、1階と2階の繋がりが感じられるように、という希望と、オープンになりすぎないように、という希望の両方が叶いました」(奥様)
本を読んだりパソコンを使ったりと自由な時間を過ごせる場所です。
子ども部屋にはドアを2つ設置。現在は一部屋ですが、将来的には壁を作って区切る予定です。
2階にはこの他に寝室とウォークインクローゼット、納戸とお手洗いがありますが、さらにもう一部屋、U邸ならではのお部屋があります。それは...
2枚の扉で防音機能をもたせた、ご主人のDJスタジオです。
趣味でDJをされているというご主人。計画当初から関係機材を収められる書斎の実現を希望していました。気になる防音性能はというと、2枚の扉を完全に閉めてしまえば隣の部屋にいてもほとんど音が気にならないレベル。天井の勾配が音を反響し、厚みのあるサウンドに聴こえるところもお気に入りです。
レコードを収納する棚はもちろん造作。レコード店などで見るような引き出し型で、収納とディスプレイを兼ねています。
「この部屋に入ると出てこられなくなっちゃうんですよ(笑)」とご主人。ずっしりとした機材と大量のレコードが詰まった室内は、照明やコードの収納なども男性的なセンスで統一。隠れ家のような心ときめかせる空間となっていました。
「朝日社長の作る家に住みたい」そう思った
Q 家づくりを始めたきっかけを教えてください。
A それまで住んでいた家が築30年になり、古くて手狭になってきたのがきっかけです。隙間風がひどくて寒いということもありましたね。設備も古くなってきて、ボイラーや屋根など、直さなければならない部分も見えてきていました。子どもの成長も見据えて建て替えを決意しました。
Q 住宅会社選びはどのように進めましたか?
A 趣味で新しい家を見るのが好きで、具体的に家を建てる予定ができる何年も前から大手ハウスメーカーも含め色々な住宅会社を見て回っていたんです。じっくりと時間をかけ、自分たちが建てたい家をシミュレーションしていきました。その中で出会ったのが朝日社長です。
夫婦で選んだというボトルランプ
厚みのあるニッチは充電スペース兼お子さん関係の書類を置くスペースに。目立たせたくないWifi機器などは階段裏に収納しました
Q 多くの住宅会社を見る中でカントリーヴィレッジに決めた理由は?
A 朝日社長の作る家は間取りが抜群によかったんです。カントリーのデザインが好きだったというのもあるけれど、それ以上に使いやすさを感じる間取りに惹かれました。
また、建てる予定がすぐになくても嫌な顔をせず、本音で家づくりのことを話せる人柄も魅力的でしたね。何度も見学に行く間に、この人にならすべてを任せることができるという信頼が生まれ、最後は「朝日社長の作る家に住みたい」という感じでした。
格子の入った欧米風のデザインが気に入って選んだ窓はクレトイシ株式会社の「モンタージュ」というシリーズのもの。
北側・東側には日射遮蔽タイプを、南側・西側には日射取得タイプを使っています
玄関のニッチ(写真左)には息子さんのファーストシューズをディスプレイ。
和洋室(写真右)はカントリーヴィレッジの事務所にあるキッズスペースを参考にデザインしました
Q 打ち合わせはどんなふうに進めましたか?
A 最初はどういう家にしたいかという項目を箇条書きにして渡しました。動線の少ない間取り、換気が良く気密性に優れた家...というような全体的なことから、各部屋についての個別の要望まで、20~30項目くらいありましたね。打ち合わせの数は数え切れません。細かい質問などはLINEを使ってやり取りさせてもらいました。
カントリーヴィレッジの事務所にはキッズスペースがあり、息子を遊ばせながら打ち合わせできたのも良かったです。息子はとても気に入って、家ができてからも遊びに行きたがるほどでした。
「柔らかすぎず、固すぎない」というナラ材の床
乾燥室の窓。ガラスは数種ある候補の中からご夫婦で熟考して組み合わせました。塗り壁はカントリーヴィレッジの事務所と同じ、ざらりとした風合いを感じさせる仕上がりに
Q 家づくりで譲れなかったポイントは?
A 第一は外観ですね。壁の色なども夫婦で悩み抜いて決めました。室内については無垢床にしたいというこだわりが強くありました。傷のつきにくさや収縮のしづらさ、節の少なさなどを考慮してナラ材を提案していただき、とても気に入っています。
奥様の希望によりリビングとは別に設けたダイニング。当初はキッチンとダイニングの間を仕切る予定でしたが、ゆるやかにつながる形に変更。「ちょうどいい距離感」と笑顔です
24時間換気のリモコン。一箇所で家中の換気扇を操作できます。結露のしやすそうな日は換気を強めに設定するなどしているそう
Q 現場の印象はどうでしたか?
A 大工の佐々木さんはとてもフレンドリーで、しっかりとコミュニケーションを図ることができてとても良かったです。佐々木さんのアイデアによって家がよりよくなった部分もあるんですよ。例えば階段の手すりの位置が少し低めにしてあるのは、小さい子どもや私たちが年齢を重ねたときの手の位置を考えて施工されたもの。作業している様子は息子にとっても印象深かったようで、今でも佐々木さんは彼にとってヒーローのようです(笑)。わざわざ手を止めて色々と教えていただき感謝しています。
ご主人の趣味の書籍の中には家づくり関係の雑誌も
キッチンカウンター下にはお気に入りの絵本をディスプレイ
Q 今回の家づくりで特に満足度の高かったポイントは?
A 色々な住宅会社や設備会社などを回ったり調べたりしましたが、最終的には「朝日社長が選んだものは間違いがない」という気持ちで、深い信頼関係の中で家づくりを進めることができました。実際に窓や床や各種設備など、朝日社長の提案で選んだものたちはデザインも使い心地も大満足。自分たちのアイデアを理想を越えて形にしていただき、本当に感謝しています。
記事 IEZOOM編集部
写真 Commercial Photo / Movie SWITCH