「洋画が好きで、本当に外国にあるような家を建てたいと思っていたんです」
十勝の南端に位置し、海と山の豊かな資源に恵まれた広尾町。町中でありながら静かで広々とした土地に建てられたF邸には奥様が長く集めてきたアンティーク雑貨が飾られ、ここが日本であることを忘れるような空間が広がっています。
外観は17〜18世紀頃に北米で多く建てられたアーリーアメリカンスタイル。外壁のラップサイディングは天気や光の加減で雰囲気が変わるため、サンプルだけでなく施工事例の画像をSNSなどで確認して選びました。
(写真左)木製のカバードポーチではコーヒーを飲んだり、お子さんを水浴びさせたりとゆったりした時間を楽しんでいます。
(写真右)やわらかい雰囲気の玄関。
リビングは広々とした吹き抜け空間です。
「せっかく吹き抜けにするならしっかりと幅をとりたいと考えていました。明るくて本当に気持ちの良い場所」(奥様)
欧米の古い家ではダイニングとリビングが分かれているのが一般的。F邸ではアーチ型の垂れ壁で空間を区切りました。クロスを切り替えるためにつけたフレームがクラシカルな印象を加えています。
オーダーメイドのキッチンは、インテリアコーディネーターの八木睦美さんと相談しながらデザイン・仕様を決めました。
「1000色くらいある色見本の中から選んだ絶妙なグリーン。選ぶのも楽しい時間でした」(奥様)
「広すぎない空間で、かえって落ち着くんです」というダイニング。四方を窓で囲み、コンサバトリーの雰囲気を取り入れました。
1階にはご主人の趣味の部屋も。リクガメやレオパードゲッコーなど様々な生き物を飼育しています。
「部屋の中にステンレスのシンクをつけたので世話もしやすくなり、ペットとの暮らしをより楽しめるようになりました」(ご主人)
寝室のある2階ホールは、就寝前にゆったりと過ごせるスペース。手すりの柱には塗装の前に下地を塗ることでアンティーク風に仕上げています。
「クロスは好きな柄を好きなだけ選び、各部屋に割り振りました。リビングは広く感じられるよう白を基調にしたものを、など面積も考えて選んでいます」(奥様)
造作の洗面台にカクダイのボウル、アンティークテイストのタイル(平田タイル)を合わせた洗面所。鏡や照明、スイッチも雰囲気に調和するようひとつひとつ時間をかけて選びました。
トイレは手洗いボウルもお気に入り。
寝室はクロスのほか、床の色、巾木も落ち着いた色を選択、クラシカルな雰囲気に仕上げました。
「暮らしが癒やしになるような家」
家づくりについてのお話を伺いました。
カントリーヴィレッジとの出会いは。
いくつかの住宅会社の家を見学し、営業の強さに疲れてしまった頃に出会いました。朝日さんはセールスではなくまず「どんな家にしたいですか?」と訊いてくれて、想いを共有する時間がとても楽しかったんです。施工事例も素敵で、すぐに心が決まりました。
内装のこだわりはどのように実現したのでしょうか。
長年、映画などを見て脳内にインプットしてきたイメージを言葉で伝えていきました。コーディネーターの八木さんは具体的なイメージ写真などがなくても、会話や私たちが集めてきたアンティーク雑貨などを見ることで好みの感覚を理解してくれました。
例えば手すりの柱がアンティーク仕上げなのも、八木さんが手持ちの家具に合わせてくれたものです。階段踊り場も「照明がかわいいので、際立つように壁の形を変更しませんか」と提案してもらった結果、とても雰囲気のある空間になりました。プロならではの視点で、家の完成度をグッと上げてもらえた気がします。
引っ越しから半年。住み心地はいかがですか。
夏はびっくりするほど涼しかったです! 逆に晩秋の現在は何もしなくても陽が入ってあたたかいですね。
何よりも歯を磨くたび、料理を作るたびに「かわいいな」と幸せな気持ちになれることが嬉しくて。子育て中で自分の時間をとるのが難しい毎日ですが、家事や育児など暮らしそのものが癒やしの時間になるような、そんな素敵な家になったと思います。